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人と犬の心の絆

■■物語になった忠犬

「犬を主人公にした映画や小説が、これまでにたくさん作られてきました。楽しい気持ちにさせてくれるコメディもあれば、つい涙腺がゆるんでしまうような、感動の物語もあります。そんな物語には、飼い主として学ぶべきヒントがかくされています」

日本で一番有名な犬といえば、映画「ハチ公物語」の主人公、秋田犬のハチではないでしょうか。大正12年、秋田県で生まれた秋田犬のハチは、当時、渋谷に住んでいた東京帝国大学(現在の東京大学)農学部の上野英三郎教授のもとで育てられました。

ハチは毎朝、上野教授と一緒に家から渋谷駅まで歩いて、大学へと通う上野教授を見送っていました。ところが、大正14年5月に上野教授は病気により大学で倒れ、そのまま帰らぬ人となってしまいました。

その後、ハチは渋谷の上野家から日本橋、さらには三軒茶屋に住む別の家庭へと引き取られることになりました。ところが、三軒茶屋に移り住んだ頃から、ハチが渋谷駅で目撃されるようになりました。

毎日、かつて上野教授が帰宅していた時間になると駅へと迎えに行き、来るはずのない飼い主を待つ姿が新聞の記事に取り上げられ、「忠犬ハチ公」として世間に知られるようになります。

その後、13歳で死去したハチは、銅像となって今でも渋谷駅で待ちあわせる人々を静かに見守っています

■■主人を慕う気持ちはどの犬も同じ

映画「南極物語」の主人公にもなった、タロとジロも有名です。悪天候によって南極観測隊と一緒に撤退することができず、無人の南極の地に置き去りにされてしまったタロとジロは、1年後に再び越冬隊に志願して南極へやって来た隊員と再会します。

この感動的な物語は映画公開時に日本で大ヒットを記録しただけでなく、最近、映画の本場、アメリカのハリウッドでリメイクもされました。

「私たちは、飼い主を慕う犬の姿に感動して涙を流します。その一方で『うちの犬は絶対こんな忠犬ではない』と思ってしまうかもしれません。

でも、飼い主が本当に信頼されていて、犬と心の絆で結ばれているなら、場所や環境、犬種は違うかもしれませんが、どんな犬も忠犬になることができるのです。

南極で待つというのは極端な話ですが、近所のコンビニエンスストアなどで、信頼する飼い主を待っていてくれるはずです」

■■凶暴な犬は生まれつき?

一方で、「自分の飼っている犬が凶暴すぎて手に負えない」「凶暴な性格の犬だから去勢しようか悩んでいる」といった話を聞くことがあります。でも、去勢をすれば、性格が完全におとなしくなるわけでも、凶暴さが解決するわけでもありません。

「その犬は生まれたときから、人に噛みつくような凶暴な犬だったのでしょうか?おそらく違ったと思います。その犬が育ってきた環境や、かかわってきた人の行為が、犬を凶暴にしてしまったのではないでしょうか。もしそうなら、人の手が作った原因は人の手でしか直すことはできません」

■■飼い主が心を入れ替えれば、犬も変わる

犬が家にやって来た最初の日から、今日までのことを思い出してみましょう。

犬が来た日はどんな気持ちだったでしょうか?これまで犬と一緒に過ごしてきた時間の中に、きっと幸せだった思い出があると思います。そんな幸せな思いを与えてくれた犬に、感謝する気持ちをぜひ持ってください。

飼い主にとって、犬は友達であったり、子分であったり、兄弟であったり、親子であるかのような存在です。にもかかわらず、「動物だから」と、犬のことを格下の相手だと考えているかもしれません。

家族や友達に限ったことではありませんが、立場が上であろうが下であろうが、お互いに認め合っている状態でこそ、ベストな関係を築くことができます。会社の上司と部下だってそうではないでしょうか。

「これまで過ごした犬との出来事や時間、そして犬の存在を心の底から深く感謝することができるなら、その気持ちを大切にして、犬と接するようにしてください。

たとえ、人が嫌いで、人が苦手な犬にも『でも、私のことは信じてね』という気持ちで接することからはじめましょう。

まずは飼い主が心を入れ替えてみましょう。そうすることが、相手を変える一番の近道です」

■■大切なのは愛情を注ぐこと

犬と心の絆を結ぶには、飼い主が犬に愛情を与えることです。

ハチと上野教授が過ごした時間は2年にも満たない短い間でしたが、子犬の頃、上野教授に愛されていたことをハチはずっと忘れませんでした。南極でタロ、ジロが隊員と再開できたのは、越冬隊へ志願をした隊員の熱い思いがあったからです。

「犬は、私たちが与える気持ちを素直に受け止めて生きています。だからこそ、犬の本質や気持ちを理解して、愛情を注いで接することが、犬を素直に育てる大切な要素になります」

■■犬と本気で向かい合おう

「たかが犬だから」などと思っていませんか? たとえ、自分が傷ついたとしても、犬を守る気持ちで接するようにしていますか? 犬に対して本気で向かい合わなければ、犬も本気で応えてくれません。本気で犬に向かい合っていれば、犬は死ぬ間際まで飼い主に尽くし続ける覚悟を、その行動であらわしてくれるはずです。

「相手を思いやる気持ちや、物事の善悪を判断する思考力、平和を願うやさしい心などは、私たち人間の誰もが持っているすばらしい能力です。

このような考えを持っている人は、犬にとっても魅力的な飼い主になれるはずですし、もちろん、人としても魅力的なはずです。

難しく考える必要はありません。子供と向き合うような素直な心で、犬と接するようにしてください。そうすれば心の絆をしっかりと結ぶことができるはずです」

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